2007年に発刊された『手帳進化論』10年経っているが根本は変わっていない。
手帳講座に参加したり手帳術の本を読んだり、なにより実際に手帳を使いながら、うすぼんやりと気付いたことが言語化され「ああそういうことか」と、腑に落ちる、そんな本。
手帳からみる時代の違い・時代からみる手帳の違い
時代をさかのぼり、手帳について論じているが、その中での「ああそういうことか」ポイントはここ。
生徒手帳ですら、校則を最初に掲げていたではないか。
常に身につけることを求められ、そこに書かれていることを守る。
中略
日本における手帳とは共同体の時間感覚と帰属感覚の象徴なのである。
そして同時に、そこに書かれた規範を守るべきものとして持たされるものなのである。
という時代を経て・・・
終身雇用を保証する大きな共同体が崩壊した今、手帳に書かれた行動規範は自分で書くものになった。
それが夢手帳における人生のビジョンだとは言えないだろうか。
『共同体として守るべきルールを手帳として持ち歩いていた時代』から『個別性・具体性を持った自分のルールを手帳として持ち歩く時代』への変遷。なるほど。
手帳は1日にしてならず。手帳を自分のものにするためには?
有名人はなぜ、手帳をつくるのか。
手帳の便利さを知った人は、自分の使いやすい道具に作り上げていく。
それがエスカレートすると今度は自分で手帳を作りたくなる。
自分なりの時間の配置、記入欄のサイズ、手帳のサイズを追求してそれを作ってしまう。
中略
彼らの書く解説書は役立つ。
一般のビジネスマンよりは忙しい彼らが、自らの経験の中で発見してきた時間観や時間についての習慣は、どんな手帳を使う人にも役立つ普遍性を備えており、やはり一読の価値はある。
ただし、その手帳固有の構造に依存する部分に関する記述は、他の手帳には役立たない。
中略
手帳をずっと使い続け、自分なりの使い方を確立している人は、こういうことに早くから気がつき、解説書を読んで考え方だけを取り入れたり、レイアウトの似た別の手帳を使ったりしている。
手帳を選ぶときには、自分でまずよく考える必要がある。
『自分が手帳に求める役割』はなんなのだろうか?
そこをよくよく考える。
そうすれば、おのずと選ぶべき手帳、取り入れるべき手帳術がわかるのかもしれない。
手帳は1日にしてならず。
少しずつ、なじませ、落とし込んでいく。
意気込みだけでは挫折する
そうして少しずつなじんでいこうとする新しい手帳、落とし込んでいこうとする新たな手帳術。
ただただがんばって使おうとしても挫折する。
手帳の活用術をいくつも実行しようとするとおぼえきれなくなるはずだ。
そしてそれは意欲とか意気込みといったものでは決して対応できないものだ。
そうではなく、新しい術の方法をメモしたページを用意しておこう。
わからなければ参照すればいい。
大切なのは最終的に習慣化することである。
方法をできるだけ早く暗記することではない。
中略
新しい習慣をつけるためには、意気込みだけではどうにもならない。
何をどうすべきかをはっきりさせておくだけで、かなりラクになるのだ。
とても当たり前のことだが、できていない人が多いのではないだろうか?
自分なりのルールとメモを手帳に書き込み必要時参照する。
参照の必要がなくなったら習慣化したということだ。
これは、手帳に限ったことではなく、習慣化したいなにかがあるとき、すべてに応用できることでもある。
つまり、受け身ではなく能動的に
以上、3つの内容を紹介したが、結局のところ『与えられたものをそのまま』ではなく『いかにして自分らしく選び使いこなしていくか』ということに通ずる。
手帳の範疇を超え、この時代の生き方を示唆しているともいえるかもしれない。
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